頭痛は非常に身近な症状です
頭痛は、誰もが一度は経験する身近な症状です。世界17か国の成人約4万1,000人を対象とした研究では、過去1年間に頭痛があった人は約65%、片頭痛は約25%、緊張型頭痛は約33%と報告されています。
ただし、頭痛にはさまざまな種類があります。痛みの場所や強さだけでなく、痛み方、発症の仕方、吐き気やしびれなどの症状を総合して診断します。頭痛の種類によって原因や治療法は異なるため、「頭が痛い」というだけで自己判断することは簡単ではありません。
多くは、脳そのものに別の病気があるわけではない「一次性頭痛」です。一方で、脳出血や感染症などが原因となる「二次性頭痛」もあります。中には早急な検査や治療が必要な頭痛もあるため、普段と違う症状には注意が必要です。
頭痛は「一次性頭痛」と「二次性頭痛」に分けられます
一次性頭痛とは
一次性頭痛とは、ほかの病気が原因ではなく、頭痛そのものが病気として起こるものです。代表的なものに、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛があります。
一次性頭痛は命に関わる病気ではないことが多いものの、痛みが強かったり、仕事や家事、睡眠に影響したりすることがあります。適切な診断と治療によって、症状の軽減や生活の質の改善が期待できます。
二次性頭痛とは
二次性頭痛は、別の病気や外傷に伴って起こる頭痛です。くも膜下出血や脳出血などの脳血管障害、脳腫瘍、髄膜炎などの感染症、頭部外傷後の出血などが原因になります。
「一次性頭痛は安全、二次性頭痛は危険」と単純に分けられるわけではありません。一次性頭痛でも強い痛みや頻回の発作により日常生活が大きく損なわれることがあります。一方、二次性頭痛でも原因によって緊急度は異なります。大切なのは、頭痛の経過や診察所見から、急いで調べる必要があるかを見極めることです。
代表的な一次性頭痛① 片頭痛
片頭痛は、繰り返し起こる中等度から重度の頭痛です。典型的には、次のような特徴があります。
- 頭の片側が痛むことが多い
- ズキズキ、脈打つように感じることがある
- 動いたり階段を上ったりすると痛みが悪化しやすい
- 吐き気や嘔吐を伴うことがある
- 光や音がつらくなり、暗く静かな場所で休みたくなる
- 頭痛の前に、目の前がチカチカする、見えにくくなる、手足や顔がしびれるなどの「前兆」が現れることがある
ただし、「片頭痛」という名前でも、必ず片側だけが痛むとは限りません。また、必ずしもズキズキするとは限らず、締め付けられるように感じることもあります。首や肩の張りを伴う場合もあるため、肩こりだけを理由に緊張型頭痛と決めつけることはできません。
片頭痛の診断は、痛みの性質や発作の頻度、伴う症状、これまでの経過を詳しく確認して行います。前兆に似た症状が初めて出た場合や、いつもと明らかに異なる場合には、脳卒中などとの区別が必要です。
代表的な一次性頭痛② 緊張型頭痛
緊張型頭痛は、頭の両側が締め付けられる、重い、圧迫されるように感じる頭痛です。一般に軽度から中等度で、片頭痛に比べると、歩行や家事などの日常動作で悪化しにくい傾向があります。吐き気や嘔吐は通常みられず、光や音が気になっても、どちらか一方に限られることが多いとされています。
長時間の同じ姿勢、睡眠不足、精神的な緊張などが関係することがありますが、「肩こりがあるから緊張型頭痛」とは限りません。片頭痛でも首や肩の症状が出ることがあります。
代表的な一次性頭痛③ 群発頭痛
群発頭痛は頻度は高くありませんが、非常に強い頭痛を繰り返す病気です。片側の目の奥からこめかみにかけて激しく痛み、同じ側の目の充血や涙、鼻水、鼻づまりなどを伴うことがあります。一定の期間に発作が集中し、その後しばらく発作がない時期を挟むことが特徴です。
痛みが強いため、じっとしていられず落ち着きなく動き回る方もいます。群発頭痛は片頭痛とは治療法が異なることがあるため、このような特徴がある場合は、頭痛を専門的に診療している医療機関への相談が勧められます。
注意が必要な二次性頭痛
次のような頭痛がある場合は、二次性頭痛の可能性を考え、早めの診察が必要です。突然発症する激しい頭痛や、神経症状を伴う頭痛では、外来受診を待たず救急医療機関への相談を検討してください。
- 突然、これまでにない強い頭痛が起こった
- 今まで経験したことのない頭痛である
- これまでの頭痛とは明らかに痛み方や経過が違う
- 数日から数週間かけて徐々に悪化している
- 発熱、首の硬さ、強いだるさなどを伴う
- 意識がもうろうとする、反応が鈍い
- 片側の手足や顔の麻痺、しびれ、力が入りにくい
- ろれつが回らない、言葉が出にくい
- けいれんが起こった
- 頭をぶつけた後に頭痛が続いている
突然の激しい頭痛では、くも膜下出血・脳出血や椎骨動脈解離などの脳血管障害が隠れていることがあります。発熱や首の硬さを伴う場合は、髄膜炎などの感染症が疑われます。徐々に悪化する頭痛では、脳腫瘍など頭蓋内の病気が原因となることもあります。
もちろん、これらの症状があれば必ず重い病気というわけではありません。しかし、症状だけで安全とは判断できないため、早急な診察と必要な検査が大切です。
頭痛は何科を受診すればよいのでしょうか?
突然の激しい頭痛、意識障害、麻痺、ろれつが回らない、けいれんなどがある場合は、予約を待たず、脳神経外科外来や救急病院の受診を検討してください。
繰り返す頭痛や、日常生活に支障をきたす頭痛については、頭痛外来、脳神経外科などで相談できます。当院は、脳神経外科専門医・脳卒中専門医を有する医師が2名おります。頭痛専門医も常駐しておりますので、お気軽にご相談ください。
鎮痛薬を何度も使っている場合も、一度受診して頭痛のタイプを確認する意義があります。頭痛が頻繁になると、薬の使い過ぎが頭痛を長引かせる「薬剤の使用過多による頭痛」につながることがあります。
受診時には、頭痛が始まった時期、頻度、持続時間、痛む場所、痛み方、吐き気や光・音のつらさ、使用した薬などを伝えると診断に役立ちます。頭痛日記をつけておくのもよい方法です(ある程度でかまいません)。
頭痛ではMRI検査が必要ですか?
すべての頭痛にMRI(磁気共鳴画像)検査が必要なわけではありません。典型的な片頭痛や緊張型頭痛で、神経診察に異常がなく、危険な兆候もない場合、 routine(決まった一律の)画像検査は通常必要ないとされています。
一方、突然発症した頭痛、進行する頭痛、神経症状を伴う頭痛、頭部外傷後の頭痛、発熱を伴う頭痛などでは、原因を確認するために画像検査が必要になることがあります。検査の種類は、発症の仕方や症状、診察所見によって医師が判断します。
MRIは放射線を使わず、脳の状態を詳しく調べられる検査です。ただし、突然の激しい頭痛など一刻を争う場合には、MRIの予約を待つのではなく、救急医療機関で必要な検査を受けることが優先されます。
まとめ
頭痛は身近な症状ですが、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛など、種類によって特徴や治療法が異なります。また、脳出血、くも膜下出血、髄膜炎、脳腫瘍など、別の病気が原因となる二次性頭痛もあります。
繰り返す頭痛や生活に支障をきたす頭痛は、「我慢するもの」と考えず、頭痛のタイプを確認してみましょう。普段とは違う頭痛、突然の激しい頭痛、麻痺や意識障害などを伴う頭痛では、早急な検査や治療が必要になることがあります。
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脳神経外科・内科医師
森高 千尋MORITAKA CHIHIRO
森高クリニック 副院長
久留米大学医学部医学科卒業後、国立病院機構九州医療センターにて初期研修。久留米大学医学部脳神経外科学講座、福岡済生会総合病院、福岡和白病院等にて脳神経外科医としての研鑽を積む。脳神経外科専門医・脳卒中専門医・頭痛専門医として、片頭痛をはじめとする頭痛疾患や脳卒中の診断・治療に従事。令和8年より森高クリニック副院長に就任。
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